ビルバオ-ニューヨーク-ビルバオ
日本の本屋さんではあまりお目にかかれない、バスクの文学。
この本は比較的新しい(とはいっても日本語版が出版されたのは2012年)
バスクの若い作家による現代文学です。
「樹と魚は似ている。どちらも輪をもっている」
という、不思議だけど何とも引き付けられる一文から始まる物語。
著者であるキルメン・ウリベが旅を通して、
自分のルーツに思いを馳せるストーリーです。
祖父や祖母を初めとした親類と彼らと交流を持った人々、
はたまたバスクの政治家や芸術家など、
たくさんの人達のいろいろなエピソードが織り交ぜられています。
どこまでが実話なのかはわからないけれど、
出てくる人物達は
家族を思いやる心優しい心根、
海とともに生きる民族としての勇敢さや誇り、
時としてユーモアを兼ね備えていて、
こういうバックグラウンドやDNAそのものが
この若い作家を醸成していったのだなあ〜と納得させられます。
そしてもう一つの魅力は、
やはりキルメンの独特の美しい言い回し!
読みたいのに、読み終わるのがもったいなくって
躊躇してしまうような本は久しぶりでした。
そして、他の本やネットでは知り得なかった
バスクの魅力や逸話も。
ゲルニカの話は知らなかったなあ。
それにしても、
スペイン内戦やETAなど、
バスクとスペインまわりの歴史について
もっと勉強しなければ…。と思います。